日本経頭蓋MRガイド下集束超音波治療研究会
Japan Society for Transcranial MR-Guided Focused Ultrasound

MRgFUSが機能神経外科領域に与えるインパクト
定位脳手術の革新的なモダリティとしてMRガイド下集束超音波治療(MRgFUS)が登場した。約1000本の超音波ビームを、虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焼く様にターゲットに集束させ、凝固部位や温度をモニターしながら、切らずに脳の病気を治療できる画期的な装置である。2016年にFDAに認可され、本邦では2019年6月にETに、2020年9月にパーキンソン病に対する適応が保険収載された。そのインパクトは大きく、日本定位・機能神経外科学会の手術統計によると、従来の定位脳手術の総手術件数は微増だが、パーキンソン病(PD)や他の不随意運動疾患に対する脳深部刺激療法(DBS)は減少している。一方MRgFUSは、過去5年間で33例から274例と9倍に激増し、この影響で一度は廃れた高周波凝固術(RF)も増加している。
MRgFUSは、優れた定位脳手術装置であるが、手術標的、両側手術、適応疾患の拡大やマイクロバブルとの組み合わせによる血液脳関門の可逆的開放を利用した神経難病の治療など検討すべき課題も多く、当研究会で議論を重ね、日本から世界へ情報発信していきたい。

日本経頭蓋MRガイド下集束超音波治療研究会
代表世話人
独立行政法人国立病院機構 奈良医療センター 院長
平林 秀裕